人物紹介|その生き方を知る

桜木紫乃 1965(昭和40)年~

昭和40年生まれ。釧路市出身。15歳の時、原田康子の小説「挽歌」の文庫を何気なく手にして、自分が普段住み慣れた町を舞台に描かれた作品であることに引き込まれる。普段目にする何気ない景色も、作家の目を通すと、このように変るのかと意識させられ、そのことが文学を志すきっかけとなり、中学時代から創作に打ち込む。

高校卒業後、進学を断念、裁判所の職員として勤務し、創作を一時中断する。その後、夫の転勤に伴い釧路を離れる。

1998年6月、幣舞公園で行われた挽歌碑建立式に出向き、鳥居省三氏に挨拶をする。その後、鳥居氏から「小説を書いてみてはどうか」と誘われる。50枚の原稿を書き、早速見せたところ「新しい才能を見つけた」と言われたという。鳥居氏主宰の北海文学の同人となり、桜木紫乃のペンネームで小説を執筆。

「北海文学」編集人の園辺甲治さんから「社会的な作品を書くと強い」と助言をもらい、鳥居氏の奨めもあり、オール讀物新人賞に応募。2002年に農業後継者問題を取り上げた小説「雪虫」で第82回オール讀物新人賞を受賞する。受賞した「雪虫」は2007年に文芸春秋から「氷平線」におさめられ出版された。2008年には、「風葬」(文芸春秋)を出版。この小説は、根室短歌会会長中村菊雄さんの歌集「涙香岬」に感動したことがきっかけとなり書かれた。

2009年10月には小学館から「凍原」、同年12月には角川書店から「恋肌」が、2010年9月には新潮社から「硝子の葦」が出版。2011年8月に新潮社から刊行された「ラブレス」は、第146回直木賞候補作となった。

2013年7月17日、「ホテルローヤル」でみごと直木賞を受賞した。

用語解説

根室短歌会会長中村菊雄歌集「涙香岬」
1998年出版。ルイカとはアイヌ語で「石の橋」の意味をもつ。涙香岬の名前は地図にも記載がなく、年配の人たちが呼ぶのみ。戦前、近くにあった遊郭の遊女がよく、この岬から飛び込み自殺をしたといういわれのある場所で、中村さんが遊女の悲しい物語を短歌に詠んだ。その1つが「涙香岬に およぶ流氷の末端を 見さけつつ立つ 街遠く来て」で、桜木さんが書く根室を舞台にした小説「風葬」の物語を動かす役割を担っている。2007年にこの歌集を目にし感動した桜木さんが、涙香岬を舞台に小説を書きたいと、中村さんに手紙を送り、引用の承諾を得て、2008年小説が出版された。

参考文献

  • 第82回オール読物新人賞発表. オール読物. 2002, 第57巻, 第5号, p.290-297.
  • 2010年10月30日(土)開催「桜木紫乃さんトークセッション~凍原の地から~」.「釧路出身の作家 桜木紫乃に関連する新聞記事」ファイル. 郷土行政資料室作成資料.

更新日:2011/11/06

更新日:2013/01/17(改訂)

更新日:2013/07/31(改訂)